シニアに多い「歯の根面のむし歯」にご用心!!

丸尾歯科 衛生士の徳本です。

今回は根面カリエスについてお話します。

最近では高齢になっても多くの歯を残せる人が増えてきましたが、一方で、歯の根面の虫歯が増えてきています。

根面カリエスとは?

歯周病などにより歯ぐきが下がることで今まで歯ぐきに隠れていた歯の根面が露出してきます。

この部分にできる虫歯を「根面カリエス」といいます。

 

虫歯が進行すれば、歯の頭の部分(歯冠部)が虫歯になっていないのに、根元から歯が折れてしまうこともあります。

今まで虫歯になったことのない歯にできることもありますし、被せものをした歯の根元にできることもあります。

なぜ、根面は虫歯になりやすいのか?

ではなぜ歯の根面は虫歯になりやすいのでしょうか?

歯のあたまの部分は人体でもっとも硬いエナメル質で覆われています

しかし、歯根は硬いエナメル質ではなく、軟らかいセメント質で覆われているからです。

軟らかいセメント質や象牙質は酸に弱く、脱灰(歯の成分が溶け出す現象)がはじまるPHも高めです。

なのでエナメル質よりも脱灰しやすいのです。

また一度虫歯になるとあっと言う間に進行してしまうのも大きな特徴です。

どうして、シニアに根面カリエスが多いのか?

①歯を守る唾液が減少する

唾液には、

・食べかすやプラークを洗い流す作用(浄化作用)

・口の中の細菌の増殖をおさえる作用(殺菌作用)

・溶けだした歯の成分を再沈着させる作用(再石灰化作用)

・口内の酸性度を中和する作用(緩衝作用)

がありますが、服薬、放射線治療などにより唾液量が減るため、作用が十分に働かず虫歯になりやすくなります。

②「噛む」機能の低下

良く噛むことは唾液が出やすくなりますが、高齢者の場合噛む力が衰えたり、入れ歯によってかみにくくなると、しっかり噛まないで、食べやすい食品を選びがちになります。

そのため、噛まないで飲み込んでしまうことで唾液を出す機会が減るため、虫歯になりやすくなります。

③歯ぐきが下がっている人が多い

根面虫歯は歯ぐきが下がって歯の根が露出しない限り起こりません。

歯ぐきが下がる原因は歯周病や、過度な強すぎるゴシゴシ磨きですが、高齢のかたほど歯周病になっている割合が多いからです。

根面カリエスを予防するにはどうすれば良い?

では、歯の根面虫歯の予防法はどうしたらいいでしょうか。

①時間をかけて丁寧な歯磨き

まずは1日1回、10分以上かけた丁寧な歯磨きで、歯ぐき周りを清潔に保つことが大切です。

ゴシゴシ磨きで歯や歯ぐきに無理な力がかからないよう、ご自身に合ったセルフケアの方法を歯科医院で教えてもらいましょう。

 

 

②フッ化物の活用

根面の虫歯にはフッ素(フッ化物)が特に有効です。

フッ素入りの歯磨剤と歯磨き後のフッ素ジェルの塗布やフッ素のうがい薬をおすすめします。

最近では、根面カリエスをターゲットにしたフッ化物も増えたので、ご自身に合ったフッ化物を衛生士さんに見つけてもらいましょう。

 

③定期的な検診とメインテナンスの継続

根面の虫歯は早期発見、早期治療、メインテナンスが大切です。

メインテナンスでは露出した根面に高濃度のフッ素を塗布し、セルフケアで不足するフッ素を補います。

いずれにしても、根面虫歯にさせないためにセルフケアを徹底しプロフェッショナルケアをしっかり受けましょう。