歯ぎしりとくいしばり

こんにちは。丸尾歯科、衛生士の京極です。

みなさん、寝ている間の歯ぎしりを指摘されたり、歯がすり減っていたりしていませんか?

歯ぎしりやくいしばりの原因についての研究は数多く行われてきていて、ストレスや睡眠環境、睡眠習慣、服用している薬など様々な因子が考えられていますが、いまだに確定的な原因がわかっていない状態です。

歯ぎしりはリズミカルに顎を動かし、ギリギリと音を伴い、歯のすり減り(咬耗)が見られますが、

くいしばりは音がせず、顕著な咬耗も認められないためくいしばっていることに気付きにくいです。

食いしばりによる影響

くいしばりは一番奥の歯に特に力がかかるので、過度の食いしばりによって歯根破折が引き起こされ、奥歯からどんどん歯根破折→抜歯となる可能性が高くなります。

永久歯を抜歯する三大原因はむし歯(29%)歯周病(37%)歯根破折(18%)ですが、神経を取った歯は歯根破折を起こしやすく、歯根破折を起こした歯は抜歯することになります。

↓70代男性。歯ぎしりやくいしばりによって歯がすりちびています(咬耗)。

奥歯も破折で抜歯になり入れ歯を使用していますが入れ歯もよく破折して壊れて修理しています。

他にも歯根破折だけでなく、

・治療した銀の被せが摩耗する

・セラミックの被せやインプラントの上部構造(被せ)が欠けやすい

・詰め物が頻繁に取れる

・ご自分の歯が欠ける

・歯周病が進行しやすく治りにくい

(歯磨きがしっかりできていて歯肉に炎症がなければ、歯ぎしりが原因で歯周病が悪化したり抜歯になることはありませんが、歯磨きが不十分で歯肉に炎症があったり歯がぐらついていると歯ぎしりによる力で歯が揺り動かされ、歯周病が悪化する原因になります)

・顎関節症や頭痛、肩こりが起きやすい

(歯ぎしりやくいしばりは常に側頭筋や咬筋を使うので、起床時の顎のだるさや痛み、頭痛、肩凝りの原因になったり、歯ぎしりやくいしばりが原因で顎関節症が起こりやすく、口が開かない、口の開閉で顎の痛みや関節部分から音がするなどが起こります)

予防法は・・・

マウスピースを作ればいいかというと、そうではありません。被せが欠けない予防にはなりますが歯ぎしりやくいしばりをしなくなるわけではなく、むしろマウスピースの厚みで余計に歯を噛みしめやすくなり、逆効果です。

原因が解明されていない歯ぎしりとくいしばりですが一番の原因として考えられているのがTCH(Tooth Contacting Habit)です。

日中上下の歯は食事で噛む時に一瞬接触するだけなので、一日三食食べても10数分しか接触しません。食事以外唇は閉じていても上下の歯は2〜3mm隙間が出来ているのが正常な状態です。

これが昼間ずっと上下の歯が接触している、ずっとではないが接触していることがあると歯の周りの組織(歯根膜)が常に圧迫され、血行不良を起こします。正座をして足が痺れた時と同じように、感覚が過敏になり、むし歯や歯周病ではないのに歯が痛いと感じたり、知覚過敏を感じやすくなります。

歯ぎしりやくいしばりのようなぐっと強い力がかからない、軽い力であっても上下の歯が接触していると歯や顎の関節に負担がかかります。

デスクワークでのパソコン作業、スマホ見たり読書など下を向くような姿勢はTCHが起こりやすく、TCHがある(日中歯が接触している)と睡眠時の歯ぎしりやくいしばりが起こりやすくなります。

TCHを改善するには

①「歯をはなす」「リラックス」などと書いた付箋やメモを目に付く場所やよく通る場所に貼る。

②メモを貼ったら歯を離すということは忘れる。(意識し続けなくて済ます。)

③普段通り生活していてメモが目に入った時に歯が接触しているかチェックする。

④接触していたら一度ぐっと噛んで肩を上げ「あっ」言って脱力し、肩を下ろします。

接触しないように歯を離そう隙間を開けようとすると、今度は口を開ける筋肉が疲弊してしまいます。

脱力して離すのがポイントです。

TCHが減ってくる、なくなってくると睡眠時の歯ぎしりやくいしばりが軽減してきます。

睡眠時は自分でコントロールすることはできませんが、日中のTCHを是正して顎関節症や歯の破折などから守りましょう。