こんにちは、歯科衛生士の藤田です。
今回は以前”ためしてガッテン”でも取り上げられた『スウェーデン式歯磨き』についてお話しします。
日本では、歳をとると歯がなくなるというイメージがあるのではないでしょうか?
ところが歯科予防の先進国スウェーデンでは、80歳の平均残存歯数は25.5本。親知らずを除くと歯の総本数は28本なので、ほとんど残っているといえるほどの本数です。
そのような歯科予防の先進国スウェーデンでの歯磨き法をご紹介したいと思います。
★虫歯予防効果がアップする歯磨き方法
スウェーデン式歯磨きは、歯磨きのあとに虫歯予防に効果を発揮するフッ素をより多く口内に残すために考案された歯磨きの方法です。
フッ素は歯磨き後も歯や粘膜などに残り、少しずつ唾液と混ざり合って口の中で効果を発揮するため、口の中にできるだけ長く留めておくのがポイントです。
最も口内のフッ素濃度が高いのは歯磨きをした直後で、口をゆすぐ回数が増える程減少します。
その後、歯の汚れや食べかすを洗い流す唾液の自浄作用によって、さらに口内のフッ素濃度は低下していきます。
スウェーデン式歯磨きはブラッシングのあとに口をゆすがないため、通常の歯磨き方法と比べてフッ素が口に留まりやすく、虫歯菌の活動抑制、再石灰化の促進、歯質強化の3つの効果により、高い虫歯予防効果が期待できます。
★歯磨き粉をゆすがないスウェーデン式歯磨きの4つのポイント
スウェーデン式歯磨きは歯磨き粉の使用量や磨いたあとのうがいの方法が通常とは異なるため、ポイントを押さえて正しく効果的に行いましょう。
寝ている間は唾液の分泌が減り、口の中の自浄作用が低下するため、虫歯菌などの細菌が増えやすく、虫歯になりやすい時間帯です。
特に就寝前にフッ素入りの歯磨き粉を使用すると、虫歯菌の増殖を抑えられるのでおすすめです。
1.フッ素配合の歯磨き粉をたっぷり使う
フッ素配合の歯磨き粉を2cmほど歯ブラシに付けます。このとき、歯ブラシを濡らすと水でフッ素が薄まるため、濡らさないで使います。
2.歯に満遍なくフッ素入りの歯磨きを行き渡らせる
歯全体に歯磨き粉が行き渡るように歯を磨きます。歯磨きのあと口をゆすがないことに抵抗のある方は、いつも通り口全体を磨いて口をよくゆすいだあとに、フッ素入りの歯磨き粉を塗りつけるようにして歯全体に行き渡らせる、2度磨き(ダブルブラッシング)を行うと良いでしょう。
3.口の中の泡を吐き出す
歯磨きが終わったあとに口の中の泡や唾液を吐き出し、口はゆすぎません。べたつきや気持ち悪さがあるときは、15ml(大さじ1杯)ほどの少量の水で1回だけ口をゆすぎます。
4.30〜120分は飲食しない
飲食によりフッ素が流れてしまい、口内のフッ素濃度が低下するため、歯磨きのあと30〜120分は飲食を控えましょう
★口をゆすがないときのフッ素入り歯磨き粉の選び方
フッ素入りの歯磨き粉は、厚生労働省が許可した効果や効能に有効な薬用成分が一定の濃度で配合されている、医薬部外品に分類されます。
もしパッケージに虫歯予防を連想させるような言葉が記載されていても、化粧品に分類される歯磨き粉には薬用成分が配合されていないので、効果や効能は医薬部外品と比べて低いので注意が必要です。
1.フッ素濃度で選ぶ
フッ素入り歯磨き粉を選ぶ際は、フッ素濃度ができるだけ高いものを選ぶと良いでしょう。ただし、大人と子どもでフッ素濃度に制限があるため気を付けましょう。
大人は950ppm以上
950ppm以上のフッ素濃度の歯磨きは虫歯予防の効果が高いという統計があります。日本の歯磨き粉は最大1,490ppmまでフッ素を配合することが認められています。
子どもは1,000ppm以下
フッ素濃度が高い方が口に停滞しやすく虫歯予防効果を発揮しやすいですが、6歳未満の子供が使用するとフッ素症(歯のエナメル質に白い斑点ができる症状)のリスクが生じるため、1,000ppm以下のものを選ぶようにしましょう。
パッケージにフッ素濃度が記載されているものはppmの値を確認して判別するか、もしくは「子ども用」と表記がある歯磨き粉を選びます。
2.低研磨性・低刺激のもの
研磨剤のたくさん入った歯磨き粉は、歯の表面や歯茎を傷つける可能性があります。できるだけ研磨剤の入っていないものか、低研磨性で刺激の少ない歯磨き粉を選ぶと良いでしょう。
3.泡立ちの少ないのもの
歯磨き粉には泡立ちを良くするための発泡剤という成分が含まれています。発泡剤が多く配合されていると、泡が歯の表面や隙間などを隠してしまい磨き残しが多くなり、フッ素の効果が弱くなる可能性があります。
4.形状で選ぶ
チューブに入ったペーストタイプ、ジェルタイプ、泡で出てくるタイプ、液体タイプ(液体歯磨き)があります。好みに合わせて選ぶと良いでしょう。
フッ素は歯の健康に欠かせませんが、歯磨きが十分でないと、せっかく使用していても歯に取り込まれません。
まずは正しい歯磨きを一緒にマスターするためにメンテナンスにお越し下さい!
フッ素を正しく使って虫歯予防に取り組みましょう!!