「豹変するバイオフィルム」セミナー報告
こんにちは。院長の丸尾です!
2020年1/26、愛媛県歯科医師会のセミナーに参加してきました。
「豹変するバイオフィルム」
-最新病因論に基づいた歯周基本治療と歯周管理-
健康なお口の状態を守るためには、バイオフィルムの管理が重要とされています。
しかし、患者様それぞれ持っている口腔環境や細菌の種類が異なるため、患者様自身が状態を納得し、改善していくための行動をしないと良い結果としてなかなか現れてきません。
一般的な病気は医者からもらった薬を飲んだり、手術を受けるなどで改善しますが、糖尿病や歯周病はまずは正しい知識を患者に伝え、納得してもらい、行動に移してもらえる状態まできてやっと結果がついてきます。
つまり、歯科医院に受診した際にだけ衛生士に口の中を清掃してもらったり、予約の前の日だけがんばって歯磨きするといった行動では絶対に良くならないのです。
一般的な病気と糖尿病・歯周病の違い
最近の研究によって「口腔環境のバランスが崩れる」ことで歯周病や虫歯の発症リスクが上がる
ということが発見されたそうです。
患者様一人ひとり、お口の中を見て直接目で確認することができる汚れ、歯茎の中に隠れてしまっている汚れ、それぞれが及ぼす影響も違えば活動する細菌の種類や量も全く異なります。また、特に悪影響を及ぼす細菌の種類や量が少なければ少ないに越したことはないのですが、少ないからといって発病しにくく、多いからといって必ず発病するというわけではないようです。
バランスを崩す要因となる病原性の高いRed-complex bacteria(悪玉歯周病菌)は、鉄分が大好物で歯茎から出血があると赤血球のヘモグロビンを摂取して増殖します。そうするとMicrobial shift(バイオフィルム周囲の環境変化(栄養、温度、pH、嫌気度など)によって、口腔内細菌が活気づき、病原性を高める現象)、バイオフィルムの変化が起きて歯周病が悪化します。
歯周病の治療とはバイオフィルムの変化を起こさせずに均衡を保つことが大事です。(Microbial shift、)
細菌の栄養源となる糖質の摂取量増加、住処となるバイオフィルムを形成するのに役立つ磨き残しの量が増えるなど、菌が住みやすい口腔環境へと変わればその分悪い菌は活発的に行動しはじめてしまいます。
いくら歯科に通っていただき歯茎の中の見えない汚れを取り除いたり、ブラッシングの指導を行ったとしても、普段の生活から「悪い細菌の活動しにくい環境づくり」を行わなくては、なかなか改善へと繋がっていきにくいのです。
残念ながら、お口の中に生存する細菌は一度住み着くと生涯いなくなることはないとされています。
しかし、量の増減は可能なため、いかに悪い細菌の量を減らしていくことが出来るかが重要になってきます。
定期的に歯科検診を行い、細菌叢の変化を防ぐことも重要になってきます。
画像引用:愛媛県歯科医師会主催学術講演会 「豹変するバイオフィルム」資料