歯周病とからだの病気

 

 

お口の病気である歯周病…

お口に悪いだけじゃなく、じつは全身の健康にも影響することをご存知でしょうか?

歯周病が進行すると、炎症を起こした歯ぐきから歯周病菌が体内に侵入し、様々な病気の発症や悪化を招くと考えられています。特に関連性の高い2つの病気についてお話します。

 

1.歯周病菌の死がいが脳梗塞や心筋梗塞を起こす!?

脳梗塞や心筋梗塞の原因となる動脈硬化は、一般的には血管の内壁にコレステロールが蓄積し脂肪分が沈着することで起こります。血管内壁にかたまりができ、厚くなると血管を塞ぐだけでなく破れることがあります。そうすると血流に乗って心臓や脳の血管に達して血栓となり心筋梗塞や脳梗塞を引き起こします。

これと似たようなことが進行した歯周病でも起こり得ると考えられています。

 

歯周病による動脈硬化のメカニズム

① 歯ぐきから体内に入り込んだ歯周病菌が血管内壁に入り込む。

 

② 白血球が歯周病菌を食べる。

 

③ かたまりが厚くなると血流を阻害。破れたかたまりが詰まると血栓に。※これが脳の血管で起これば脳梗塞、心臓の弁で起これば心筋梗塞となる。

 

④ 白血球もろとも、死がいが粥状のかたまりとなって残る。

 

2.歯周病の炎症が糖尿病を悪化させる!?

糖尿病はすい臓から分泌されるインスリンの働きが悪くなり、血糖値が高いままになってしまう病気です。

糖が細胞に取り込まれず血糖値が高い状態が続くと、血管が弱り心臓病や失明等の深刻な合併症につながりかねません。進行した歯周病だと炎症部位には、体の反応により「炎症性物質」が集まります。それが歯ぐきから体内に持続的に供給されるせいでインスリンの働きが弱められ糖尿病が進行しやすくなると考えられています。

 

歯周病による糖尿病悪化のメカニズム

 

インスリンがしっかり働いていると…

血中の糖がからだに取り込まれ、血統は低く抑えられる。

 

インスリのが働きが阻害されていると…

血中の糖を十分に取り込め高血糖になる。

 

 

歯周病治療で糖尿病も改善する!

糖尿病は歯周病が悪化の一因になるだけでなく、歯周病を治療し、炎症性物質が生じなくなることで糖尿病が改善することもわかっています。予防や早期発見、早期治療を心がけ、お口の中だけではなく、多くの病気から自分の体を守りましょう。

 

出典:nico 2019 8月号