いびきと睡眠時無呼吸

こんにちは、歯科衛生士の橋本です。

突然ですが、就寝中のいびき、普段自覚はないものの家族に言われて意識された方や、自身でわずらわしくて目が覚めた!などといった方は割と多いのではないでしょうか?

いびきとはなぜ発生するのか?大丈夫なのか?

今回は、「睡眠時無呼吸症候群」という病気との関係性も一緒にお話します。

まず、人体の構造の説明からはじめましょう。

歯科治療中、仰向けのままだと溜まった唾液が飲み込みづらかったり、口で呼吸がしにくかった経験があると思います。

人は体が仰向けになると舌の付け根の位置が下がり、喉の空間が狭くなります。そのため、先程のような事が起こるのです。

そのなかでも睡眠中に気道(のど)が狭くなることで、呼吸によって通る空気が振動し発生する音のことを通称「いびき」と呼びます。

これだけ聞くと、「人体の構造なら仕方ない」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、健康な人の場合は気道の狭さが極端に狭まることはないため、寝息程度の呼吸音しかしません。ならなぜ、いびきは起こるのか?

それは、「なんらかの異常がある」ということなのです。

例えば風邪を引いているとき、ストレスやお酒を飲みすぎた時なども一時的にいびきをかくことはあります。

一方で、

慢性的にかくいびきは「睡眠時無呼吸症候群」という病気の前兆なので要注意!

睡眠時無呼吸症候群(以下SAS:サス)とは、文字通り寝ている時に無呼吸になってしまう病気の事です。

睡眠中、平均して1時間に5回以上、10秒以上呼吸が止まる場合に病気の可能性があるとされています。

この病気はただ呼吸が止まっているだけ、というわけではなく、継続して短時間の無呼吸を繰り返すことで脳や心臓といった血管系の臓器に少しずつ負担をかけているのです。

無呼吸の回数や時間といった症状が増えれば増えるほど、脳卒中や狭心症などの循環器系の合併症やリスクが高まるともされており、一方で無呼吸の改善が出来れば健康に長生き出来る可能性もないとは言えません。

また、この病気はなかなか自覚に乏しい点も多く、家族からの指摘や寝苦しさを感じるといった事がないと気付きにくいものでもあります。

狭くなった気道で酸素を取り込もうと呼吸をしているのに、のどがふさがって一時的に呼吸が止まる。そういった事が就寝中、無意識で行われていると中々気付く事ができません。

しかし、こういった事が慢性的に行われると熟睡できず体の疲労感が取れなかったり、むしろ寝たのに疲れてしまったり...と。これでは翌日の仕事などにも影響が出てしまいますね。

運転中や大事な会議でぼんやりしたり、寝てしまったりといった症状や、日中我慢できないほどの眠気に襲われてしまうという事が続く場合は睡眠時無呼吸症候群を疑って受診した方が良いかもしれません。

また、こういった方にもいびきをかきやすい兆候があります。

・仰向けで寝る ・お酒をよく飲む ・太っている ・鼻炎や喉の病気がある ・口を開けて寝る

 

いびき自体を改善する簡単な方法としては、横向きに寝ることが挙げられます。仰向けに比べて横向きだと気道が狭くなりづらいので、呼吸がしやすい体勢で眠ることができます。

しかし重度の症状がある場合は、体勢の改善などだけでは難しいため専用のマウスピースを使用する事をおすすめしています。

上下一体型になっており、下顎の位置を強制的に前方に引き出すことで気道を狭くなりづらくさせる効果があります。使い始めは慣れないかもしれませんが、徐々に気道の狭さの改善ができ、重度の患者様でも症状を良好にすることが可能とされています。

 

当院では、睡眠時無呼吸症候群を調べるための測定機械も貸し出しさせて頂いてますので、ご自身で気になる方、家族に指摘されて気になる方などがいらっしゃれば、お気軽にお声掛けください!