こんにちは。歯科技工士の安波です。
詰め物や被せ物の種類として銀歯、ハイブリッドレジン、セラミック、ジルコニア、ゴールドなどがあります。
その中でもオススメの一つのゴールドについて説明したいと思います。
現存する治療方法の中でも昔から行われ、確立しているのがゴールドによる修復です。
古くは金箔充填に始まり、現在に続く鋳造法(ロストワックス法)の確立により多様な用途に用いられるようになりました。
ロストワックス法とはロウ(ワックス)で詰め物や被せ物の型を作って、それを鋳型として、その中に溶かした金属を流し込む方法です。
この製法で作られるようになり、寸法精度が高くなりました。
歯質と修復物の間に、一切間隙が無いのが理想と言えます。
完全とは言えませんが、それに近づけることが出来るのがゴールドによる修復の特徴です。
詰め物や被せ物に使われるゴールド(金合金)とはどんな金属なのでしょうか?
組成ですが、様々な種類の金合金がありますが、代表的な商品では、金の含有量は80%、銀9%、銅10%、その他1%です。
当院では詰め物に使われるゴールドは金83%、銀8%、銅8%、その他 1%を使用しています。
金は金属の中で一番展性(叩いて薄く出来る性質)、延性(細く針金状にのびる性質)が高い金属です。
何故、詰め物にゴールドがオススメなのでしょうか?
展性、延性が高いので、つまり軟らかいので、模型上で調整しやすく適合させることが容易です。
歯に合着してからも辺縁をすり合わせて(バーニッシュ)適合させることが出来ます。
咬合圧が加わると薄く延ばされて歯にピッタリ合ってくるのです。
保険の金属(金銀パラジウム合金)では硬くて薄い辺縁は欠けたり、
金属が歯よりも硬いので上下の歯がすり合わさって咬耗する時に歯の方が先にすり減り、歯と金属の間にステップができます。
すり減ったエナメル質に細かい亀裂(マイクロクラック)が発生し、時間の経過と共にチップして、その隙間から虫歯菌が進入て2次う蝕になってしまいます。
その点、ゴールドは歯と均等に咬耗し、ステップを作らない上に、ゴールドが延ばされて歯を包み保護してくれるように覆ったり、曲がったりする性質もあるので、歯と金属の隙間が少なくなり、2次う蝕になりにくいのです。
さらに、軟らかいので対合歯を痛めず、変質がほとんどなく(歯茎を黒ずんだりさせない)金属アレルギーを起こしにくい金属の一つといわれています。
デメリットとしては、やはり金属ですので、目立つ所であれば見た目が気になる方もおられると思います。
しかし、銀の詰め物と比べ、暖色系のゴールドは口の中では目立たないし黄白色の奥歯の色にとけ込みやすい色調です。奥歯、特に見えにくい上の歯にはオススメしたい材料です。
世界で最も一般的に使われている歯科用金属はゴールドです。
近年、ゴールドによる修復はその有効性が再確認されつつあるようです。